プロジェクト

人、モノの動きの可視化を
ソフトウェアとハードウェアの融合で実現する。 - イベント運営支援ソリューションEXBOARD開発・商品化プロジェクト -

人の行動や関心をひと目で見ることができたなら、もっとマーケティングを進化させることができる。IoT技術の活用で、それを実現したのがFAEの「イベント運営支援ソリューションEXBOARD」である。データを発信するビーコンとセンサー技術を活用し、イベント会場で数多くのお客様の位置情報や滞在時間などを測定。データを分析して、来場者の興味、関心度などを可視化できるソリューション。この開発までの経緯と、今後の展開について聞いてみた。
緑川 健志
2000年入社 デジタルエンジニアリング本部
緑川 健志
パッケージソフトの企画、開発、保守を10年以上担当。これまでシステム開発支援ツールのGKitシリーズを始め、4つのシリーズで10以上の商品化に携わる。EXBOARDはプロトタイプから関わり、これまでのノウハウを活かして、商品化を実現した。
松中 伸治
2002年入社 デジタルエンジニアリング本部
松中 伸治
現場系のシステム開発の経験を経て、FAEとしての開発方法の共通化を行う業務へ。そして今回、EXBOARDの将来の展開を考える役割として、企画開発から商品化に関わった。現在、物流や生産現場、オフィスへの展開、実現に向けて動き出している。
鈴木 和幸
2008年入社 デジタルエンジニアリング本部
鈴木 和幸
システム開発支援ツールの開発保守を経験し、社内や他社のサポートをしていたことがきっかけとなり、EXBOARD開発の初期から関わる。現在は、ノウハウを活かして新たなビジネスを立ち上げるプロジェクトを担当している。

お客様の興味や関心をデータ化し、可視化へ。

イベント会場で人の動きを可視化するソリューション「EXBOARD」、その開発の始まりは富士通グループの大型展示会「富士通フォーラム2015」にあった。「このときの狙いは、VIPのお客様の来場時間や現在地などを把握することで、富士通グループの営業活動を円滑にするためです。そこでビーコンを1000枚用意して、データを受信するゲートウェイを100機設置しました」(鈴木)。 毎秒送られてくるデータは膨大で、FAEとしても初めて扱うビッグデータとなった。そして、この位置データを、どこに貯め、どこで解析して見える化するかが開発の課題になった。高性能のサーバーを準備し、社内で疑似的な展示会場をつくり、テストを繰り返した。開発は2カ月という短期プロジェクトだったが、大手百貨店で行った販売員の行動の見える化や、社内にあるビーコンを使ったシステムなど、これまでのFAEのノウハウを結集して開発を進めた。
お客様の興味や関心をデータ化し、可視化へ。

ハードウェア部門を持つFAEならではの強み。

一方でソフトウェアとハードウェアの違いに、戸惑うことも多くあった。当時、緑川、松中、鈴木の3人はソフトウェア開発の部署に所属し、ビーコンに関するノウハウを持つハードウェアの部署と一緒に開発を行うのは初めて。「例えば、ビーコンに組み込むプログラムが特殊なため、開発できる人が少なく、時間がかかりました。また、ビーコンの充電をどうするのか、展示会に設置するゲートウェイのコンセントは足りるかなど、普段のソフトウェア開発では想定しないことが数多くありました。それでも、ハードウェアの部署が一度にビーコン100個を充電できる機器を自作でつくるなど、FAEが持つフットワークの軽さや柔軟性を活かして、取り組んでいきました」(緑川)。 こうして無事に富士通フォーラム2015を迎えることに。その後、何度か実際の展示会での使用を繰り返し、ついに商品化の段階へ進んだ。
ハードウェア部門を持つFAEならではの強み。

課題解決の先に、商品化の実現。

商品化に際して難しいのは、いかに汎用的にするか。商品化する場合はお客様自身が使えるような、分かりやすいシステムにする必要がある。特に頭を悩ませたのは次の4つ。1つ目は、ビーコンは全方位に電波が飛ぶため、人が展示会場の外を歩いていても、窓や壁を通過して会場内にいるような反応が出てしまうこと。2つ目は、分析データをひと目で見ることができること。3つ目は、性能を満たすスペックのサーバー費用をいかに抑えることができるか。4つ目は、手軽に始められる価格設定とサービス内容。これらの悩みに対して、データの反応範囲の制限やコスト面などを試行錯誤しながら商品化を実現した。
課題解決の先に、商品化の実現。

オフィスのフリーアドレスや物流工程の改善にもEXBOARD。

こうして完成したEXBOARDの可能性は市場に出て、さらに広がりを見せている。例えば、職場で進むフリーアドレス化や駅近くにサードオフィスを設置する世の中の流れに伴い、誰がどこにいるかを瞬時に把握できるように使われたり、また物流倉庫で荷物の動きやパソコンの修理工場で機器の動きを把握することで、工程の改善活動に利用されている。「最初のEXBOARD商品化の企画時から、様々な利用シーンで活用ができるのではないかと考えられていました。他社があまりやっていない領域で、1000を超える人やモノの動きを把握できるという差別化を活かした新しいビジネスをつくっていきたいと思っています。今は屋内での利用ですが、屋外も考え始めています」(松中)。 さらに様々なところでの利用が期待されるEXBOARD。もちろん、このEXBOARD自体の進化も考えられている。それは、人だけ、モノだけでなく、その両方の動きをひと目に見えるようにすること。また、誰と誰がどのようなコミュニケーションを取っているのかを、音やセンサー同士の反応から可視化することである。「夢かもしれませんが、ビーコンを持たずに何もつけないで、人にストレスなく使ってもらいたいです。そうすれば、もっと普及が進み、もっとお客様の役に立つことができると思います。」(鈴木) FAEの新しい技術は、常にお客様と共にある。
オフィスのフリーアドレスや物流工程の改善にもEXBOARD。<